アートとリサーチ ワークショップ

Participant's Portrait: 佐藤 拓実

佐藤 拓実
Takumi SATO

1993 年北海道生まれ、現在神奈川県を拠点に活動。版画の仕組みを考察する作品や、自らのアイデンティティ、日本について考える作品を中心に制作している。
佐藤拓実の活動ホームページ

リサーチテーマ

主に北海道で和人(北海道に住む大和民族)によって描かれたアイヌの絵のリサーチ。

ふりかえりインタビュー

聞き手:福原明子(アートとリサーチ プログラムコーディネーター)

  • 01:55

    これまでの作品について

  • 03:44

    作品テーマ「日本ってなんなんだろう?」

  • 06:30

    今回のリサーチ対象「主に和人(大和民族)が描いたアイヌの絵をリサーチ」

  • 07:56

    テーマ設定のきっかけ「夷酋列像展、蠣崎波響」

  • 11:10

    訪ねた場所「函館、松前」

  • 15:14

    リサーチを終えて、今後の展開

  • 18:10

    富士山と羊蹄山の彫刻

  • 19:51

    制作上の作家の立ち位置

  • 21:04

    WSに参加してみて

ワークショップ参加への思い

私は作品が、象牙の塔のような場所で限られた人が鑑賞し愉しむものではなく、できるだけ多くの人々に何か感じさせ考えさせる形になることを目指しています(もちろん、分かりやすければ良いというものでもありません)。

例えば自分が興味関心を持った事柄を作品化しようとした時、自分の経験や身の回りの事柄を自分の中でのみ考え、作品化する方法があるとします。
そのような方法論では、作品が他人や社会との接点を失い、作品として鑑賞者に訴えかける力が足りなくなるように思われます。作品が自己中心的なものにならないために、意識的に様々な他者の考えや社会のあり様を知る必要があると私は考えます。

私にとってリサーチとは作品を作る上で欠かせないものであり、リサーチによって他者を知り、それを自分の中で消化した結果が作品であると考えます。
私の作品における自己表現とは、リサーチの消化の仕方であり、そのような他者と自分が対峙する地点にこそ個性が生まれると思っています。

最近よく、リサーチ結果の提示にのみ終始する作品が見受けられるように思います。手書きであったりして、一見作品化されているように見えますが、集めた情報の引きうつしだけのような作品です。
必ずしも引きうつしに意味がないとは言えませんし、リサーチした情報を展示するのは意義のあることだと思いますが、消化という作家の介入がないようなものでは、表現になる前の段階で止まっていると言わざるをえません。
そのようなものを作品として提示しないように注意しなければならないと思います。