アートとリサーチ ワークショップ

Participant's Portrait: 菊池 史子

菊池 史子
Fumiko KIKUCHI

1986年北海道生まれ、現在ドイツ・ブラウンシュワイクを拠点に活動。様々な人々とコミュニケーションを交わし、「言語」や「感情」をテーマとした作品を制作している。

リサーチテーマ

落石へ 「物」を介した人とのコミュニケーションと土地の記憶

ふりかえりインタビュー

聞き手:漆崇博(一般社団法人AISプランニング 代表、コーディネーター)

  • 00:00

    自己紹介、最近の興味

  • 01:42

    札幌とのかかわり

  • 02:40

    これまでの活動について

  • 04:29

    リサーチ対象について

  • 05:38

    応募時のリサーチ対象「北海道の人たちが話している言葉」

  • 09:07

    応募時のリサーチ計画「世代別のインタビュー」

  • 10:38

    リサーチ内容を変更

  • 15:01

    落石岬へ

  • 17:33

    羅臼へ

  • 18:27

    ライダーハウスでの出会い

  • 20:11

    フィールドワークと羅臼町郷土資料館

  • 21:02

    シマフクロウオブザバトリーへ

  • 23:09

    夕張フィールドワークについて

  • 25:45

    リサーチ中出会った人について

  • 26:51

    今後の作品展開について

  • 29:29

    夕張の小学校の校歌

  • 33:41

    夕張で野球をやりたい

  • 35:22

    WSで生まれたつながり

  • 38:13

    WS参加後の変化

  • 41:07

    参加者・講師との交流

  • 46:54

    札幌・北海道への印象の変化

  • 50:37

    札幌のアートシーンについて

ワークショップ参加への思い

活動の拠点をドイツに移してから今年で5年目になります。
ここでの生活が4年目に突入した頃から、私は日本で制作したい作品のアイディアがたくさん浮かんできました。
ドイツへ来る前、日本で制作していた時は西洋への憧れが強く、西洋的な雰囲気を漂わせた作品でした。
それはきっと無い物ねだりであったり、隣の芝が青く見えるといった現象だったのだろうな。と今だとわかります。

不思議なもので、現在の私にはその時とは正反対のことが起こっています。
今だからこそ、日本で作品を制作したいです。
今だからこそ、日本で作品を制作することに意味があります。
外国に住んでいることで、日本に住んでいた時には気づけなかった日本の面白さや調べてみたいことが山ほどあります。関心や疑問に思う点が日本に住んでいた時とは全く違う所に位置しています。

1年半おきに日本へ帰りますが、帰国する度にカルチャーショックに見舞われます。
もちろん、日本に住んでいたときには日本でカルチャーショックにあったことはありません。
私は北海道上川郡東神楽町に生まれました。
18歳で上京したときに北海道の良さがわかりました。
日本からドイツへ渡ったときにやっと日本の良さがわかりました。
距離をとらないと見えない部分にたくさん気がつくことが出来ました。
今、地元で制作したら私は何が出来るだろう。
私は自分の作品を制作する際、たくさんの人とコミュニケーションをとっています。
それは作品のコンセプトに必然的ですが、私自身が“コミュニケーション”自体に興味があるで作品を構想する際に、無意識的に制作が人とのコミュニケーションを必要とする方向に進んでいるのだと思います。

リサーチプロジェクトの期間中、様々なレクチャーを受けることができるのは本当に魅力的です。
現在活躍しているアーティストの皆さんの協力を直接受けながら自身の制作を行えるワークショップにはなかなか巡り会う事はできません。
また、さっぽろ天神山アートスタジオが様々なイベントを通してアートと地域を結ぶ開かれた場所であること、滞在しているアーティストと地元の方々が積極的にコミュニケーションを図っているのは両者にとってとても重要なことであり、素晴らしいと思っています。
その場の力に私は新しい何かが生まれる可能性を感じていて、場を活かした制作を進めたいと思っています。

私にとって、まさにこのプロジェクトはリサーチの為にあります。
私の地元は北海道ですが、10年以上住んでいないので北海道が少しだけ外国のようにも思います。
そこで私は住んでいる人には見えない北海道の日本の面白さや不思議な部分に目を向け、私なりのアプローチでリサーチを行いたいです。

今回のリサーチプロジェクトは私が今まで書き留めてきた日本で制作したいアイディアを実現するまたとない機会だと思っています。