2016年3月19日
移動する日
移動/札幌̶釧路̶落石
日本で一番長い距離を走るJR 定期普通列車に乗った。
ほとんどの駅(そしてそのほとんどが無人駅)で1分~10分の待ち合わせ時間がある。
そこで「撮り鉄」が外へ出て写真を撮っていた。 普通列車に好んで乗る人は新幹線や特急電車に乗る人たちとは違う目的があるらしい。
「グリーン車はただ座って移動しているだけでつまらない。」という一人の乗り鉄さんが言っていてなんかわかる気がした。
例えば、私の場合。自分のスピードではなく、早歩きをしたり、走ったりすると何かを後ろに落としているような感覚があり後ろを振り向く回数が多い。
普通電車はその点、電車の移動するスピード感が私が歩いているスピードに近いのかもしれない。時間がぴったりと現実にくっついていた気がする。
電車が「しらぬか駅」に着いた時、10分くらい停車していたのでほとんどの撮り鉄さん達が外へ出て対向車線から来た貨物列車を撮影していた。
私は新鮮な空気が吸いたかっただけなので、列車の窓を開けて外を見ていると、私が気になっていた小さな撮り鉄が貨物列車の写真を撮っていた。
私は彼を盗み取りしていたら、気付いたのかもしれない、私は私のレンズ越しに彼が私を撮っている姿を見つけた。
列車がまた走り始めてすぐ、小さな撮り鉄と小さな撮り鉄のお父さんの座席へ行って、「私のベストショットを見て下さい!」と、私にカメラを向けている小さな撮り鉄さんの写真を見せた。
「この時、私の事を撮ってた?」と聞くと、小さな撮り鉄さんが「どうかな~」といって、彼の手の小ささには大きすぎるカメラを抱えて、さっき撮っていた写真の中から私を探した。そして間もなく私は私を見つけた。