アートとリサーチ ワークショップ

インタビュー:澤英俊さん (3月20日)

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澤さんは宮崎県にある徳泉寺のお坊さん。リサーチの時期にちょうど北海道に来ていたのでお話を伺うことができた。曹洞宗の中で抜群に優れた講話のできる布教師の一人である。全日本選手権で柔道日本一にも輝いたことのある澤さんは九州の修行道場で素晴らしい師と出会い、真から心を動かされ修行をスタートする。
澤さんは、私のリサーチのテーマを聞いて「全然高尚なことじゃないんです。ごくごくシンプルで、直感に基づいて行動しています」と返答してくださった。澤さんのおばあさん曰く「お寺というのは、悲しんでいる人や苦しんでいる人を元気にして返すところ」。「そのためには笑いも必要だし、じっくりと考えるべきときはじっくりと、一緒に考えます」
「その時々にしか見えない風景があるんです。40歳の時には40歳の時にしか見えない風景がある。それより前に背伸びしようとしても見えない。」「大切なことは、否定しないこと。頭から間違っているなんて絶対に言いません。」
海のような方だなと思った。ふっと遠く沖へ連れて行かれたと思うと、気がつくと砂浜に座っているような…広い言葉とごく身近な言葉の間を自由に行き来しながら、聞いているうちに心の中で何かが折り重なっていくように感じる。
ご自身の講話の際にはこんな風に言うことがあるそうだ。 「私の話を聞くときは、米だけ持って帰ってくださいって言うんです。スズメに米を巻くと、石を避けて米だけをつばむでしょう?」 ニクい気遣いをしてくださる、機知のある方だった。