【スケジュールと行程】*フィールドトリップは任意参加
9:00- ゲスト・アーティスト坂巻正美 と出発
19:00 帰着
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この日はアーティストの坂巻正美さんがかつてリサーチされたエリアを再び参加アーティストとめぐり直すフィールドトリップ。目的地は静内だったので、通過する苫小牧でもアイヌのイタオマチップ(アイヌの海洋船)を見ようということになり、行程に組み込んだ。行程に入れましょうという打ち合わせをした途端に、次の坂巻さんからの連絡では苫小牧市美術博物館の学芸員さんにコンタクトをとって解説を依頼したと伝えられた。さらに、フィールドトリップの前日には関連する資料の紹介などハンドアウトについても的確な指示をいただいた。さすが坂巻さん、道内の郷土資料館もほぼ把握されているという。エリアごとにアイヌ民族に関するアーカイヴ、日本人の開拓の歴史や開拓以降の地域の生活文化をアーカイヴをしている北海道内各地にある郷土資料館はどこも興味深い。公的に施設情報を網羅しているのは北海道博物館協会があり、天神山にはあるけど紙のマップも便利。でも、リニューアル工事とか耐震工事とか、常駐者がいないこともあって訪問前には問い合わせが必須、特に冬季には閉館していたりする。今回も新ひだか町のアイヌ民族資料館は工事中で見れないことが判明。アーティストによってもリサーチの方法、段取りは違う。綿密に計画する人もいれば勘に任せて動く人、ひとそれぞれである。
苫小牧市美術博物館では主任学芸員武田さんに丁寧に説明をいただく。坂巻さんは終始武田さんに質問を浴びせると武田さんは間髪入れず答えを返すというテンポいいやりとりが続く。アーティストたちはそのスピードについていくように必死だ。すっかり美術博物館を堪能して時間が押してしまい、昼食はコンビニのおにぎりで車中にて。
マイクロバスの車中でも、坂巻さんが参加アーティストとの対話を続けてくれている、新ひだか町静内エリアに到着。新ひだか町のリニューアルオープンしたての博物館でシャクシャインの戦いについて展示をみながら坂巻さんに解説をしてもらう。最近の傾向なのかこの手の郷土資料室では小動物剥製のディスプレイに並々ならぬ気合を感じる、ここでは展示室の中央にある。動物が受けるということなんだろうか。
ここで三上さんと合流、そのまま静内側の対岸にある真歌エリアへ移動。このエリアの高台にはアイヌの遺跡や資料館、松浦武四郎の碑がある。特にシャクシャイン記念館はアイヌのチセが再現されている仕様で広く、所蔵品が1箇所に集められていて圧倒される。少し霧がかかってきてチャシ跡に設けられている展望台からの眺めは素晴らしかった。工事中で入館できなかったのだが新ひだか町アイヌ民族資料館は展示作業も進行しており、玄関から覗くとわくわくするような展示風景があった。リニューアルオープンが待ち遠しい。次に敷地を回り込んでアイヌ集落の復元された展示を見学。集合写真を撮る。儀式に使用された祭壇などひと気の無い集落が寂しく見えた。
帰り際、もう一度、静内川を渡ってチャシ跡を仰ぎ見た。どんな戦いや営みがここにあったのだろうか。MO
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